感染予防・管理を行う「感染管理リンクナース」
感染管理リンクナースとは
感染管理リンクナースは病院内の感染症対策チーム(ICT)や対策委員会と病棟の間に立って最新情報や技術を現場に伝える役割を担います。現場の課題を感染症対策チームに提言し、組織的に感染対策を実行します。一般的な看護業務を行いながら現段階の技術や環境作りにおける課題を抽出し、その内容に基づいた解決策を導き出す感染管理リンクナースは、近年特に注目を集めている存在です。
感染管理認定看護師を取得しよう
感染管理リンクナースになるためには、感染管理認定看護師の資格があると有利です。感染管理認定看護師は1998年に日本看護協会によって認定された資格です。感染管理の分野において高い専門性を有した看護師にのみ与えられます。当時、医療現場における院内感染の発生率が非常に高く、感染拡大が問題視されていたことから認定が開始されました。感染予防対策や継続的な管理、再発予防の取り組みなどのスキルは一般的な看護業務だけで身につけることはできません。そのため、感染管理における重要な役割を担う人材の育成として、他の領域よりも早くに制定されました。近年は新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、あらためて感染管理認定看護師のニーズが高まっている状況です。
感染管理認定看護師になるためには「疫学」「感染管理学」「感染症学」「統計学」「医療管理学」「医療関連感染サーベイランス」「感染管理指導・相談」「ファシリティマネジメント」など、感染症に関するあらゆる知識や技術を習得しなければなりません。いわば、感染管理のスペシャリストです。
あらゆる医療現場で求められている
感染管理は認定看護師の中で最もニーズの高い分野といえます。感染症は身近な疾患であり、感染経路は多岐に渡ります。院内感染が発生すると、一瞬のうちに感染症が拡がってしまう可能性があります。非常に厄介な疾患でありリスクも高いことから、予防法や蔓延の対処法に精通した感染管理認定看護師は、ほとんどの病院に配置されています。特別手当が支給されるケースも多く、この資格があれば転職に困ることはないといってもいいでしょう。同一の医療機関で長期的に働き、キャリアアップを目指す際にも有利に働きます。
感染管理認定看護師の数は2015年の時点で1,000人強です。認定看護師における特定領域の中で最も多くの看護師が資格を取得しています。しかし、それでもまだ数が不足している状況です。感染管理認定看護師の資格を取得するためには半年以上の教育課程を修了し、試験に合格する必要があります。そのため、資格取得支援制度のある職場を選ぶことをおすすめします。